「いただきます」
向かい合わせに座り、手を合わせる。やっと目が覚めた深雪は、まだ使い慣れない箸で朝ご飯を口に運んでいた。深空は、その様子を食べながら見守っている。
「時間ないから、早く食べてね」
まだ箸が不慣れな深雪に、深空は言う。深雪は素直にうなずいて、真剣に食べていたが、やはり覚束ない彼女の箸使いでは、するりと目玉焼きのかけらが床に滑り落ちてしまった。それを見ていた深空は、一気に頭に血が昇って、そんな深雪を厳しく叱り付けていた。
突然のカミナリに、深雪の目には涙が溜まる。しかし、深空は構わずに怒鳴り散らしていた。
あまりの剣幕で怒っている自分に、深空自身も驚いていた。しかし、感情のコントロールがきかない。
「ご、ごめんなさい…」
深雪のそのひとことで、彼女はようやく口をつぐむ。しかし、いつもみたいに優しい気持ちになれず、ショックを受けていたのは間違いなかった。
溜息をつき、冷静さを取り戻そうと目を閉じる。更に深空は両手で顔を覆い
、肩で大きく息を吸った。そして黙って立ち上がり、フォークを深雪に差し出す。
(この子に当たったって、なにもならないのに…)
深空は黙々と朝ご飯を食べ進めていた。
向かい合わせに座り、手を合わせる。やっと目が覚めた深雪は、まだ使い慣れない箸で朝ご飯を口に運んでいた。深空は、その様子を食べながら見守っている。
「時間ないから、早く食べてね」
まだ箸が不慣れな深雪に、深空は言う。深雪は素直にうなずいて、真剣に食べていたが、やはり覚束ない彼女の箸使いでは、するりと目玉焼きのかけらが床に滑り落ちてしまった。それを見ていた深空は、一気に頭に血が昇って、そんな深雪を厳しく叱り付けていた。
突然のカミナリに、深雪の目には涙が溜まる。しかし、深空は構わずに怒鳴り散らしていた。
あまりの剣幕で怒っている自分に、深空自身も驚いていた。しかし、感情のコントロールがきかない。
「ご、ごめんなさい…」
深雪のそのひとことで、彼女はようやく口をつぐむ。しかし、いつもみたいに優しい気持ちになれず、ショックを受けていたのは間違いなかった。
溜息をつき、冷静さを取り戻そうと目を閉じる。更に深空は両手で顔を覆い
、肩で大きく息を吸った。そして黙って立ち上がり、フォークを深雪に差し出す。
(この子に当たったって、なにもならないのに…)
深空は黙々と朝ご飯を食べ進めていた。



