LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

「深空、俺は……」

 彼は、どうしても抑えられない気持ちを言葉にしようとしたとき、彼女はそっと彼の唇に指を添えた。

「…!」

 少し驚き、彼女の顔を見る、雄二。微笑みながら、深空は首を横に振る。雄二は、もう何も言えなくなった。

 彼は、黙ってドアノブに触れると、ノブをそっと右に回す。そして振り返りもせず、深空の前から姿を消したのだった。

 彼が行ってしまった後、深空は空気の抜けた風船のようにぼんやりとしていた。

 今し方触れたばかりの彼の体の感触がほのかに残り、それを抱くようにして自分の肩を抱く…

 そして、自分に言い聞かせる。

 どっちにしても、泣かなければならないのだ、と……