LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

 慣れない雪道を慎重に歩く。やがて大通りに出ると、通勤、通学の人が踏み締めたあとが残っており、だいぶ溶けていた。

 緊張が解け、普通に歩けるようになる頃には、駅に到着していた。そして、彼が待っている部屋を目指し、深空は電車に乗った。

(…どんな顔して会えばいいんだろう?)

 そんなことを考えている間に、電車は無情にも降りる駅のホームへと滑り込んでいく。

 どことなく自信のない顔をして電車から降り、トボトボと改札に向かって歩きだした。

 まばらな人の間に紛れ、自動改札を抜けようと不意に前を向いたその時、深空の瞬きが止まる。

 目に映った姿を捕らえた瞬間、目の前が霞み、揺れていた。

「やっと帰ってきた…」

 気が抜けるようにため息をつき、目の前に現れた深空の髪に触れたのは、雄二だった。

「風邪、引いてないか」

 彼は心配そうに深空の顔を覗き込む。深空はうなずいた。

「そうか… ちゃんと話そうな」

 雄二は、そう告げたあと深空の手を握った。深空は、彼の手の冷たさにびっくりした。

(ずっと待っててくれたの…?)

 彼女の手を引いていく彼の背中は寒さで丸まっていた。そんな背中を見て、深空の胸は苦しくなるばかりだった。