LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

「…自分のことしか考えてなかったんだよね」

 深空のつぶやきが、宙に舞う。夏美は黙って耳を傾けていた。

「…夏美」

「ん?」

 深空は、真っすぐに夏美の目を見据えた。

「ありがとう」

 少しだけ微笑み、深空は立ち上がる。すると夏美もカップを置き、深空の服をハンガーから外し、彼女に渡した。

「よかった。乾いてる」

 服を受け取り、深空は着替えた。そして夏美から上着だけ借りて、彼女の部屋を去る。

「またね」

 深空がそう言って小さく手を振ると、夏美はうなずいた。そうして彼女は夏美の部屋のドアを開けた。

(あ…っ)

 目の前に広がるのは、今年初めての銀世界であった。

「転んだりしないでよ…?」

 心配そうに眉をひそめ声をかける夏美だったが、深空は小さく笑い、雪で敷き詰められた地面を歩きはじめた。