「深空ちゃん、どうしたの …って雪?」

 頭に雪を乗せて、上着も着ていない深空の姿を見て、夏美はドアの外を身を乗り出して確認していた。

 空からは、白い光がヒラヒラと舞い降りている。

 夏美は、急いで洗面所に走った。

「上りの電車が終わってたから、実家に帰れなくて…」

 やや俯きながら彼女がそう言った時、男物の靴があったことに気付く。

「ごめん、吉井さんがいたんだね」

 踵を返し、外に出ようとすると、夏美は大慌てでそれを制止した。

「風邪引くから、拭いて。気にしなくていいから…」

 夏美は深空にタオルを渡し、部屋の中に招き入れた。