時間だけが、コツコツと過ぎて行く…

 ダイニングテーブルの椅子に体育座りしている深空の口からは、ため息が漏れていた。

 どれくらい、時間が経ったのだろうか。もう、深空にはわからなかった。雄二から、まだ何の連絡も来ない。

(お父さんと、会えたのかな…)

 深空はそればかり考えていた。



 何時間も同じ姿勢の深空は、そのまま眠っていた。目を覚ますと、毛布がかけられていたことに気付く。

「夕飯、どうするの」

 キッチンに立ち、野菜の下ごしらえをしている逸子は、起きたばかりの深空に尋ねた。

「あ、あぁ…」

 寝ぼけた目を擦りながら、目の前の携帯を手に取り、確認する。

(…何もきてない)

「アンタ、今朝から何も食べてないんじゃない? 食べて行きなさいよ。作るから…」

「…うん」

 何気なく深空は窓の外に目をやると、外はすっかり暗くなっているではないか。今更そんなことに気付き、何の連絡もないことに少しガッカリしながら、自分の携帯をまたテーブルに置いた。