LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

 雄二の父、大村正雄

 小さな田舎町で、ネジ工場を立ち上げ、職人として今もまだ現役で働いていた。

 雄二や兄の敬吾、引き取られた陽菜もまた、そんな正雄の背中を見て育ったのだ。

 正雄は寡黙で、言葉は多い方ではないが、雄二にとってはよき父親であった。


「自分の道は、自分で切り開くんだ。親の敷いたレールを歩く奴は、大馬鹿だ」

 常に子供達にそう教え、やりたいことがあればとことん挑戦しろ、といった教育信念を持っていた。だから、彼は子供達に工場を継がせることなどまったく考えていなかったのだ。自分の代で終わったって構わない。なぜなら、これが彼の決めた道だからだ。

 食べていくために始めたこの仕事に誇りを持っていたが、希望に輝く将来を持つ子供達にそれを押し付けようとは思わなかったのだ。親子と言えど、人にはそれぞれ違う幸せがある。彼はそう言う考えを持つ父親であった。

 雄二は、そんな父を好きだった。そんな父親の元で育ったから、彼は真っすぐに育ったのだろう。親戚にたらい回しにされていた陽菜を引き取った時も、そうだった。彼女の将来の幸せを考え、自分の子供のように育てたのだ。正雄は、同い年同士の雄二と陽菜が恋人となったとこを知ると、喜んでいた。本当の娘同様に育てた陽菜が、幸せだと感じ、結婚して、子を成して… そんな想像をすると、涙が止まらなかった。

 子供達の事情で、彼等が苦い三角関係になった時も、心配して口を出そうとする節子を宥め、黙って見守っていた。