しばらくふざけていると、雄二はトイレに立った。深空もそれにあわせてベッドを降りて、戸棚を開ける。そして、マグカップを二つ取り出し、コーヒーを入れた。

 トイレから出てきた雄二に香ばしい薫りを漂わせたカップを手渡し、深空はそのまま窓辺に立った。

「今日もいい天気だね」

 窓の外に広がる雲ひとつない空を眺めながら、煎れたてのコーヒーをすする、深空。

「寒そうだな。こんな晴れた日は、放射冷却現象で寒いぞ」

 深空の横に立ち、一緒に窓の外を見て雄二が言った。

「えっ、そうなの?」

「うん」

 平和な会話。平穏なふたりの空間に、広がるコーヒーの薫り…

 のんびりとした一日の始まりであった。