一方、深空は引きこもっていた。

 妊娠したため、ファミレスのバイトも辞めてしまったし、結婚する予定だったため、大学も辞めてしまった。

 何かをしようと思う気力も湧かなければ、気晴らしにどこかに行こうなどという行動力も衰退していた。

 流産の時の出血が多かったせいか、貧血がひどく、起き上がることさえもままならない日もある程だ。

 年末から散々だった深空の頭の中は、もう何かを考える余裕などなかった。

(…何もしたくない)

 布団を頭から被り、その暖かさにまどろんでいると、充電器に差しっぱなしの携帯が鳴っていた。

 最初は無視していたが、留守電に切り替わって着信音がやんでも、また鳴っている。

(…しつこいな)

 全く動くつもりがない深空は布団を被り直して、やり過ごそうとしていた。しかし、何度も何度も電話はかかって来る。頭にきた彼女は、仕方なく起き上がり、乱暴に充電器から携帯を抜き取ると、相手の確認もせずに電話に出た。