この間、彼女が雄二の腕に触れた時、彼に振りほどかれてから、深空は雄二に触れることはなかった。また拒絶されたら、と思うと怖くてできないのだ。

 雄二の気持ちが全く読めない深空は、やるせない気持ちでいっぱいだった。

 こんなにも心からの笑顔でいられない自分が、ここにいてもいいのか。自分は何かの役に立っているのか、自分といて雄二は楽しいのか…

 考えていても仕方ないことを考えてしまうのだ。

 ネガティブな思考は、情緒不安定な妊婦によくみられる症状だ。本当は、いろいろな不安から守ってもらいたいはずなのだ。しかしそれを願ったところで、誰も彼女を包んではくれない。

(考えたって仕方ないことも、あるよね…)

 タオルをピンチに挟みながら、深空は自分を納得させるほかなかった。