雄二が本棚に手をついて、肩で呼吸をしていると、深空は彼の異変に気が付いた。

「だ、大丈夫?」

「…ごめん。めまいが…」

 目を閉じ、眉間を押さえ光が戻って来るのを待つ、雄二。深空は、彼をソファに誘導しようと腕をそっと掴んだ。しかし彼はそれを乱暴に振りほどいたのだ。

 びっくりした深空は、背筋をビクッとさせた。

「あ… ごめん… つい…」

 自分の行動に驚いた雄二は謝るが、深空はショックを隠せなかった。

「あ… めまい、平気? 少しソファにでも座って、休んだら?」

 しかし、すぐに作り笑いを浮かべ、彼女は雄二をソファに座るよう促した。彼に触れることをためらわれた彼女は、彼の態度を探るように、ソファを指を差す。

「うん…」

 雄二も、なんとなくばつの悪い顔を隠しながら、深空の言うことに従った。