昔、彼女が教え子だったこと…

 その時、淡い恋心を抱いていたこと…

 家族の軋轢のこと…

 曲がった恋愛をしていたこと…

 雄二と再会して、自分が変わりはじめたこと…

 こどものこと、結婚の約束、そして駅の事故のこと……



 深空は包み隠さず、拙い言葉ですべてを彼に話した。彼は真剣な顔で、深空の話に耳を傾けている。

「すごく、大事にしてくれたの…」

「そうなんだ…」

 真っ白な布団をじっと見つめ、他人事の様にしか聞こえない彼は肩をこわばらせていた。

 そんな微妙な二人の間に、風が流れた。

 沈黙。

 お互い、それ以上何を言ったらいいのか解らず、言葉を探していた。