「ただ…?」

 深空が聞き返すと、看護師は雄二の肩を軽く揺すった。

「大村さん、聞こえますか」

 何度か看護師が、雄二に呼び掛けると、彼は薄く目を開ける。

「せ、先生…!」

 深空が身を乗り出し、彼の顔を覗き込んだ。しかし、彼は……

 ただ、深空の顔を困惑した顔を浮かべて、見つめるだけだった。

「どう、したの…?」

 彼のその様子に、深空は動揺を隠せない。

 雄二は深空から視線を逸らし、一瞬だけ目を閉じる。そして、頭を掻いた。

「先生、どうしたの?」

 深空がまたそう尋ねた時、雄二がもう一度彼女の顔を見た。そして、口を開く。