LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

「もう、これ以上は無理だねぇ」

　タクシーの運転手が、フロントガラス越しに前方を見据えて言った。

「それじゃ、ここで降ります」

　深空は財布を出し、メーターに表示されている料金を支払って、そのタクシーを降りた。

　降り立った場所は、駅から少し離れたこところだったが、足を使ってもたいした距離ではない。深空は駅に向かって走った。

　バスターミナルの入口に着いたところで、足が止まった。どこからともなく集まった野次馬で、あふれ返っていたのだ。

　なんとか野次馬の隙間を縫って警察の引いた黄色い規制線の前までやってきた。そこで見えたのは、あの見慣れた駅が赤い炎を吹き出して燃えているのだ。その光景を見て、深空はひざから崩れ落ちそうになる。

「なに、これ…？！」

　辺りは異常なほど物々しい雰囲気に包まれていた。