体調のいい日には外に出掛け、深空は雄二へのクリスマスプレゼントを探していた。

(やっぱ、ネクタイがいいかな…)

 近所のショッピングモールで、ビジネスファッションの店の店頭に並んでいるマネキンを眺めながら、考える。お店の中に入り、大きな陳列棚に綺麗に並べられたネクタイを見た深空は、種類の多さに驚いていた。そして実際に手に取り、あれこれと悩む。

 時間をかけてやっと決めたネクタイを綺麗に包んでもらい、クリスマスカードを添える。雄二が喜んだ顔を想像すると、それだけで心がいっぱいになった。

 買い物帰りの深空の足取りは、とても軽かった。

 合間を縫って探していた新居もようやく決まった。小さいが、南側に大きな窓のある住み易そうなアパートだ。

 家電は、しばらくは雄二が今使っている一人暮らし用の物を使い、足りないものだけを引っ越した後に買う予定だ。

 二人はすでに婚姻届の記入を済ませていた。あとは、保証人の欄に、雄二の両親のサインをもらい、その足で役所に行くことを決めていた。

 二人の未来への準備は、本当に順調だった。

 彼等の幸せはとても純粋なものだった。誰も邪魔することはできない。そう強く信じていた。