深空は何気なく、羽織っていたジャケットを脱いだ。すると、整った彼女の体のラインは、黒のカットソーによって、より胸を強調させていた。それはまるで制服を着ていた頃と違う、ということをあからさまに表しているかのようだった。

 ギャップを感じてほしい…

 悪魔の自分が下品な笑みを浮かべながら、心の中でつぶやいている。

 彼女の"ゲーム"は、もう既に始まっていたのだ。

「ちょっと垢抜けた感じがするな」

少し照れながら、うにずいた。

「制服じゃないからかな?」

「そんなんじゃねぇだろ」

 優しい顔をした雄二は、深空の髪を大きくてゴツゴツした手でくしゃっと触れた。

 彼女は、その手に一瞬だけドキッとする。

(この人は、全然変わってないな…)

 自分の周りを流れている時間は、急流のように早いのに、雄二が過ごしている時間は止まっているかのようにゆっくりであると深空は感じていた。