「…でも、久しぶりに大人になったお前を見た時、あいつの写真はもういらないって思った。俺を、受け入れてくれると思ったから」

 雄二がそう言うと、深空は雄二の部屋で無理やり写真を撮られた時のことを思い出していた。あの時に彼は言った。『新しい写真立て、買ってこようかな…』と。

「なんか妙に歳のわりには落ち着いちゃってるしな、お前は。過度に期待しすぎたのかもしれない。…悪かったよ」

 彼は深空の頭を優しく撫でた。

「それでもやっぱり、お前が俺のことをそこまで気持ちがあるわけではないなら、好きにすればいい。でも…」

 そのまま、雄二は深空を引き寄せ、抱きしめる。

「俺を少しでも信じてくれるなら、一人で抱え込むなよ。もっと頼ってくれ…」

 頭上から聞こえる声は、とても強く、優しく、そして何よりも暖かかった。深空は目を閉じて、その暖かさを全身に感じていた。

「深空のことを、愛してるから… 」