LOVE GAME〜あたしの帰る場所〜

「…一緒にその子を育てよう」

 彼の言葉に、深空は身体を起こし、雄二の顔を見つめた。

「俺の子かもしれないんだろ? もしそうじゃなくても、俺は自分の子としてその子の父親になる。だから…」

「そんな簡単なことじゃ…」

「じゃあ、その子を見捨てるのか? 俺の子かもしれないのに…! 俺達が、俺達のこどもとして愛情を注いであげればいいじゃないか」

 "愛情"という言葉を聞いて、深空の顔がみるみるうちに赤くなり、肩を震わ
せていた。

「愛情って何? あたしはこの子に愛情を与えられるか解らない…っ だってあたしの親は愛なんてくれなかった!! それでどうやって愛してあげるのよ?! あたしは…」

「…じゃぁ、どうして悩んでる? 死んでしまいたいと思うくらい、真剣に… それが、その子へのお前の愛だろう…?」

 雄二は、深空のお腹にそっと触れた。

「先生の子じゃないかも知れない…」

 泣きじゃくる深空を雄二は優しく抱きしめる。

「…俺の話を聞いてくれないか」

 その真っすぐな彼の口調には、もう迷いなど存在しなかった。深空は、小さくうなずいた。

「定期入れに入れていた写真の女はな、確かに俺と付き合ってた…。俺が就職で上京するとき、地元に残して…」

 駅のベンチに二人腰掛け、雄二が始めた話は、こうだった。