花の香りが光と共に振ってくる

そんな中、彼女の髪をすいて微笑む




「愛してる」

「私も、愛している」




穏やかな表情で笑った彼女が、チュッと小さな音を立ててキスを落とす




「――足りない」

「足りないとはなんだ」

「もっと」

「そんな事――んっ!」




頬をピンクに染めた彼女の体を抱き寄せて、唇を塞ぐ

甘い香りに咽返りそうになる中、強く彼女を抱きしめた



ゆっくりと唇を放すと、伏し目がちな彼女が唇を噛む

不思議に思って首を傾げると、恥ずかしそうに彼女が言った





「―――もっと」






見上げた空は

どこまでも続く、青空だった







【完】