グッと拳を握りしめて、目の前にある石版を見下ろす
もう少し早く来ていれば、ホリスは死なずに済んだかもしれない
あの日から、そう悔やんでいる自分がいる
すると、そんな俺の手を両手でゆっくりと包んだレイア
じんわりと広がる彼女の熱に、強ばっていた体が穏やかになっていく
そして、ターコイズの瞳を細めて俺を見つめた
「私も――アレンに出会えて良かった」
「――‥レイア」
その言葉を聞いて、強く彼女を抱きしめた
すると、応える様に俺の背に回った手がぎゅっと俺を包む
「俺も、レイアに出会えてよかった」
「――」
「こんなにも愛しいと思える人は初めてだ」
出会うはずのなかった2人が出会って
恋をした
でも、それは遥か昔から決まっていた事だったのかもしれない
この光の国で恋に堕ちた2人の物語の続きが、俺達だったんだ
ずっとずっと昔から約束された愛
ずっとずっと守られてきた約束
俺達はそれらに導かれる様にして出会った
たぐいよせた運命の先にいたのは
彼女だった
美しい光の国の姫君
この世の美しさをすべて纏った様な、そんな女性
この世で一番、愛しい人



