My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ



グッと拳を握りしめて、目の前にある石版を見下ろす



もう少し早く来ていれば、ホリスは死なずに済んだかもしれない

あの日から、そう悔やんでいる自分がいる



すると、そんな俺の手を両手でゆっくりと包んだレイア

じんわりと広がる彼女の熱に、強ばっていた体が穏やかになっていく

そして、ターコイズの瞳を細めて俺を見つめた




「私も――アレンに出会えて良かった」

「――‥レイア」



その言葉を聞いて、強く彼女を抱きしめた

すると、応える様に俺の背に回った手がぎゅっと俺を包む




「俺も、レイアに出会えてよかった」

「――」

「こんなにも愛しいと思える人は初めてだ」



出会うはずのなかった2人が出会って

恋をした



でも、それは遥か昔から決まっていた事だったのかもしれない

この光の国で恋に堕ちた2人の物語の続きが、俺達だったんだ



ずっとずっと昔から約束された愛

ずっとずっと守られてきた約束



俺達はそれらに導かれる様にして出会った

たぐいよせた運命の先にいたのは

彼女だった




美しい光の国の姫君

この世の美しさをすべて纏った様な、そんな女性




この世で一番、愛しい人