My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ



暗闇の中に溶け込む様な、ゼファーの瞳が怪しく輝く

ゆっくりと細められた瞳が俺を絡め取る




「お前にも見せてやりたかったなぁ」



睨み合う様にして間合いを取った瞬間、舌なめずりしながらゼファーがそう言う

返事をする事なく、構えを崩さずに睨みつける俺に向けて再び声を落とした




「炎の中で輝く黄金の瞳。憎悪に満ちたその瞳が閉じられていく、その瞬間を――」




その言葉を聞いて、ドクリと心臓が鳴る

幼い頃から見る、炎に満ちた世界の夢




「――お前が...」




微かに擦れた声が、世界に頼りなく落ちる

すると、その声を聞いてニタリと笑ったゼファー




「そうだ。お前の両親を殺したのは、この俺だ――側近だった俺を信じきっていた愚かな王族どもの、あの顔は圧巻だったな!!」

「貴様っ!!」



ゲラゲラと下品な笑い声を出すゼファーに勢いよく斬りかかる

激しく剣の交わる音が、止めどなく世界に響き渡る




そんな中、一瞬世界の端で微かに聞こえた声




ゼファーも同じ事を思ったのか、チラリと横目で声のした方を見る

同じ様に、その先を追うと暗闇の中で輝く姿が目に入った