My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ



「この世界は俺のものだっ!!」

「――」

「今や、この世界で生き残っているとされている竜族は、俺ただ1人――刃向うものはおらず、世界最強の騎士の元にこれだけの軍が集まった」



ケラケラと狂った様に笑って、辺りを見渡すゼファー

その姿を見つめながら、剣を強く握る



「俺は神に選ばれた男だっ! 世界を纏め上げ、竜族の時代を再びこの手で作り上げるのだっ!!」




高らかに天を仰いでそう言うゼファー

まるで、世界の頂点が自分である事を誇示する様に


そして、ゆっくりと瞳を下ろして俺を見つめた

一気に張りつめた空気が世界を覆う



そして、ニタリと口角を上げたゼファーがゆっくりと口を開いた





「生き残りは、1人で十分だ」





そう言った瞬間、目の前にゼファーの姿が飛び込んでくる

勢いよく交わった剣から飛び散る火花



血走った瞳が俺を見つめている




「滅びるのはお前の方だっ」

「はっ! いきがった口をきくな! 国1つ守れなくて、何が竜族の王子だ!!」

「俺はこの国を必ず救ってみせる。お前を葬ってなっ!!」



勢いよく剣を押して間合いをとる

それと同時に剣を構えて斬りかかる




それでも、さすが竜族

俺の動きにも動じずについてくる