My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ




ガタガタと怒りで体が震える

噛みしめた唇から血の味がした

そんな私を横目で見ながら、再び口を開いたゼファー



「それに応じれば、この国の女は助けてやる。それに慈悲深い私が、ここにいる男達だけは特別に助けてやろう。どうだ? いい話だろう?」



舌なめずりしながら、そう言うゼファー

血走った瞳で、生き残った騎士達を見渡した




「姫様っ! 耳を貸してはなりませぬっ」

「そうです!! どうせ、コイツ達は俺達を殺すつもりだ!」

「ここで生きながらえて、何になります!!」



ゼファーの言葉を聞いて、グレイスや騎士達が叫びだす



それでも、ゼファーの言葉がグルグルと回る

私が妻になれば、みんな助かる?

ここに生き残ったみんな、助かる



もし断れば――必ず殺される



ここにいる騎士も

隠れている民も



だったら―――



それでも、不意に1人の男が脳裏に浮かぶ

黄金の瞳を持った、風の様な男を