My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ



「アネモスの最後の騎馬隊だ!! 殺せぇ!!」



束になって前に突き進む我らの騎馬隊にガスパルが襲い掛かってくる

私の周りを守る様に囲んでいる騎士達が、弓を引いて奴等を蹴散らしていく



真っ黒に染まった世界の中に、赤だけが映る

血で濡れた剣を握りしめて、馬の上から襲い掛かってくるガスパルを斬りつける



それでも、徐々に広場の真ん中に追い込まれていく我が軍



――まさに多勢に無勢



私を囲む様に円陣を組んでいた騎士達だが、あっという間に辺りを埋め尽くしていたガスパルに囲まれていく



囲まれた―――




そう思ってギリッと奥歯を噛みしめた瞬間、さきほどまで攻撃していたガスパルの軍が急に剣を下ろした



我らの軍と少しの距離を取ってガスパルの軍が睨み合う

一瞬にして静寂が訪れた世界



そして




「これはこれは、伝説のアネモスの王女様ではないか」





突然世界に響く、声

まるで嘲笑うかの様なその声と共に現れた1人の男