「外は敵で満ちている」




静まりかえった世界に私の声が響く


柔らかな風も

芳しい花の香りも

暖かな光も

もう、この世界にはない

あるのは、どこまでも続く闇だけ



でも




「それでも、恐れる事はない。ここは私達が産まれ育った国だ」



美しい森

絶え間なく流れる川

光に満ちた世界



「何も恐れる事ない」



どこか光を失った瞳をした騎士達に告げる

真っ直ぐに前を向いて

自分の信じる言葉を並べる



「敵は外壁を破った。今もこの部屋に向かって攻めてきている」



最早逃げ場を失った我ら

もう、どこにも逃げられない



「それでも諦めてはいけない―――ホリスや他の騎士達も、そう言って今も戦っている」



夜が明けて、戦いは激しさを増した

地響きに混ざって、悲鳴が聞こえる



ホリスは今も、アレンが来る事を信じて戦っている




きっと

生きている