ゆっくりと立ち上がって、美しく咲き誇る花畑を進む

雲の隙間から微かに漏れる月光が、この地に降り注ぐ

その景色を仰ぎ見て、小さく息を吐いた




「大丈夫だ、ホリス。明けない夜などないのだ」




どれだけ暗い道が続いたとしてのも、空けない夜はない



必ず朝はやってくる

光に満ち溢れた、世界に出られる



どこか伏し目がちなホリスに微笑みかける

少しでも、その心の闇が晴れて欲しいと願って




「大丈夫だホリス。諦めずに信じるのだ」




どれだけ絶望の縁に立っても

どれだけ出口のない迷路の中にいようとも

諦めずに、信じる

そうすればきっと、出口が見えるはずだ



最後にもう一度微笑みかけて、空を見上げた

優しい月明かりが世界を照らす



すると、突然ふわりと背中に重みを感じて

後ろを振り向いた


すると





「そのまま」

「――え?」

「どうぞ、そのままお聞きください」




私を後ろから抱きしめたホリスが、振り向こうとした私を制する

あまりに急な事で体が固まった