「――‥ここは、昔と変わりませんね」
目の前に広がる時の庭を眺めて、ホリスが小さく呟いた
ゆっくりと視線を隣に向けると、目を細めて前を見据えるホリスがいた
その姿を見て、どこか懐かしく感じる
昔からずっと私の側にいたホリス
よくこうやって、並んで月を見上げた
「ここだけは、アネモスのままです」
「――」
「―――‥森や、川は死にました」
唐突に零れた言葉が胸を刺す
受け入れがたい現実が、首を絞めて息もできなくなる
それでも、目の前の現実から逃げてはいけないと思う
「残りの騎士の数は」
「――もう、数えるほどでございます」
どこか苦しそうにそう言うホリスの膝に手を添える
切り傷でボロボロになった体
でも、それよりも心の方がボロボロだと思う
多くの部下や友人を失ったのだ
「アレンが、きっと軍を率いて戻ってきてくれる」
助けに来てくれる
そして、再び
光の中へ導いてくれる