「何だと?」
徐々に怒りに満ちていくユアン王の表情を見ながら、跪いていた体を起こす
まわりにいた騎士達が、俺の動きをじっと見つめながら剣に手を添えている
――〝3日だ。それ以上はもたない″――
不意にホリスの声が脳裏をかすめる
――そうだ
こんな所でもめている暇はない
一刻も早く、兵を集めなければ
コツコツと大理石の床に俺の足音が響く
誰一人動かない世界の中で、変わらず輝くキルトの紋章
そして、その隣でも同じ様に輝きを放つ竜族の紋章
俺の持つ王家の石にも彫られている、もの
戦士の頂点の証
同盟の証―――
「陛下は、竜族と交わした同盟をご存じで?」
「竜族とだと?」
「――えぇ。互いの招集には、必ず答える。と」
「それがどうしたと申すのだ!? 竜族はとうの昔に滅んでいるではないか!!」
大きな体を揺らしながら、天を仰ぎ高笑いするユアン王
同じ様に周りにいた騎士達もクスクスと笑いだした
「――その同盟を今、果たしていただきます」
しかし、俺の言葉を聞いて再び世界が沈黙の中に沈む
ピタリと動きを止めた王も、俺を睨みつけた



