My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ




「この国に伝わる、言い伝えを――」



ゆっくりと、その瞳を細めて私にそう言うアレン

その言葉の意味が理解できなくて、思わず首を傾げる

それでも、促す様に私を見つ続ける瞳に応える様に口を開いた



遠い昔から言い伝えられている

固い愛で結ばれた2人の伝説を




「この国が敵に脅かされる事があれば、必ず助けに来る――と」




この国の姫君と、竜族の王子との約束

永遠に続く、この国の伝説



叶えられる事のない――言い伝え



シンと静まり返った部屋に、私の声が落ちた

すると、そうだと言う様にコクンと頷いたアレン

その真意が掴めなくて、ただじっとアレンの姿を見つめた

すると




「まさか、そなた。竜族が助けに来てくれるとでも言うのか? 既に滅びた竜族が?」




1人の大臣が嘲笑うかの様にアレンを見て笑う

すると、その大臣の方に顔を向けて柔らかく微笑んだアレン




「そうだ」

「なっ――何を言っているっ! 気でも狂ったのか!?」




頷いたアレンを見て、怒りに顔を赤らめた大臣

それでも、その表情を崩す事なく周りの者達を見つめるアレン




「俺は...今まで、自分が何者か分からず生きてきた」




すると、再び私に視線を向けたアレンが静かに話し出す

この部屋の中には、アレンの声以外何も聞こえない