「この国に伝わる、言い伝えを――」
ゆっくりと、その瞳を細めて私にそう言うアレン
その言葉の意味が理解できなくて、思わず首を傾げる
それでも、促す様に私を見つ続ける瞳に応える様に口を開いた
遠い昔から言い伝えられている
固い愛で結ばれた2人の伝説を
「この国が敵に脅かされる事があれば、必ず助けに来る――と」
この国の姫君と、竜族の王子との約束
永遠に続く、この国の伝説
叶えられる事のない――言い伝え
シンと静まり返った部屋に、私の声が落ちた
すると、そうだと言う様にコクンと頷いたアレン
その真意が掴めなくて、ただじっとアレンの姿を見つめた
すると
「まさか、そなた。竜族が助けに来てくれるとでも言うのか? 既に滅びた竜族が?」
1人の大臣が嘲笑うかの様にアレンを見て笑う
すると、その大臣の方に顔を向けて柔らかく微笑んだアレン
「そうだ」
「なっ――何を言っているっ! 気でも狂ったのか!?」
頷いたアレンを見て、怒りに顔を赤らめた大臣
それでも、その表情を崩す事なく周りの者達を見つめるアレン
「俺は...今まで、自分が何者か分からず生きてきた」
すると、再び私に視線を向けたアレンが静かに話し出す
この部屋の中には、アレンの声以外何も聞こえない



