「もはや、道はないのでは――?」
降り積もる沈黙を打破したのは
こんな時でも美しく透き通るホリスの声
星屑を集めた様な銀の髪が揺れている
「我ら騎士達が時間を稼ぎます。その内に民や姫様はレリーヌの滝の裏から逃げて下さい。あそこを通れば、帰らずの平原に出られます」
周りを取り囲む者達を見渡しながら、淡々とそう言うホリス
まるで、その言葉の意味を分かっていない様に
「――ホリス..何を言って..そんな事できるわけがないだろう」
「姫様。あなたは何者です」
油断すれば震えてしまいそうな唇を噛みしめて、目の前にいるホリスを睨む
しかし、それを跳ね返す様に厳しい声が私を包んだ
「あなた様は、この国の姫君です」
「ならばなおさらだ。民や騎士を犠牲にして、生きらえて何になる」
「あなた様の役目は、この国を守る事です」
「ならばっ!」
「例え、この地で生きられぬとも!! アネモスの一族を滅びさせてはなりませぬっ!!」
声を上げた私に被さる様に、大声を出すホリス
その覇気に、思わず口を噤む



