My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ



冷たい風が頬を撫でる

その冷たさが、俺を現実へと引き戻した




「――なんだって?」




唐突に言われた言葉が理解できない

俺が―――竜族の王子?




「国が滅びると悟った国王が、まだ生まれたばかりのお前を私に託した。お前を連れて、私に逃げろ、と」

「じゃぁ...父さんは」

「お前の本当の父親ではない」



どこか寂しそうに微笑んだ父の表情が胸を締め付ける

父が、俺の本当の父親じゃない?



大きく瞳を揺らす俺を見て、そっと俺の頭を撫でた父

その姿が何故か切ない




「そして国王が私に託した、もう1つの物がある」

「――」

「それが、これだ」




そう言って、おもむろに胸元から何かを取り出した父

炎の様に真っ赤に燃える、石―――




「竜族の王家の石だ」




鎖に繋がれたソレを、俺の前に翳す

どこか見覚えのある、その石を――