冷たい風が頬を撫でる
その冷たさが、俺を現実へと引き戻した
「――なんだって?」
唐突に言われた言葉が理解できない
俺が―――竜族の王子?
「国が滅びると悟った国王が、まだ生まれたばかりのお前を私に託した。お前を連れて、私に逃げろ、と」
「じゃぁ...父さんは」
「お前の本当の父親ではない」
どこか寂しそうに微笑んだ父の表情が胸を締め付ける
父が、俺の本当の父親じゃない?
大きく瞳を揺らす俺を見て、そっと俺の頭を撫でた父
その姿が何故か切ない
「そして国王が私に託した、もう1つの物がある」
「――」
「それが、これだ」
そう言って、おもむろに胸元から何かを取り出した父
炎の様に真っ赤に燃える、石―――
「竜族の王家の石だ」
鎖に繋がれたソレを、俺の前に翳す
どこか見覚えのある、その石を――



