「竜族!?」
思いもしなかった名を聞いて、目を見開く
竜族って、あの?
「ヴェントスも、昔は竜族と同盟を結んでいたのだ。一族が滅びるまではな」
「知らなかった…」
「それで、私も度々竜族の国を訪れていた――とても、いい国だった。時の王も、気さくな御方でな、私が出向く度に温かく迎えてくれた」
戦士の国――竜族
一度は訪れてみたかった
そんな国の王と懇意にしていたなんて――
どこか尊敬の眼差しで父を見つめていると
どこか懐かしむ様に、再び話し出した父
「あの日も、たまたま竜族に届け物があってな。あの国を訪れていた―――そして、事件は起こったのだ」
「――それって、もしかして..」
竜族を襲った事件
この世を反転させる程の衝撃的な出来事
それは、1つしかない
「あぁ、そうだ。一族が滅びた時。私はあの国にいた」
まるで殴られたような衝撃が体を襲う
あの、世界を揺るがしたと言われる竜族滅亡の日に、あの国に父さんがいた?
「――壮絶な戦いだった」
そんな俺を横目に映したまま、どこか呟く様に言葉を落とした



