My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ



俺と父さんの間に流れる沈黙

世界が音を無くした様に、静まり返った

そして




「本当は、一生言わないつもりだった」




聞き取れない程の小さな声で父さんが呟いた

そして、ゆっくりと伏せていた目を上げて

訳が分からずに首を傾げた俺を見つめた



どこか悲しそうに






「今から私が言う事は、お前の人生を大きく変えるモノになる」

「俺の‥人生を?」

「あぁ。全く違う人生を歩む事になる――それでも、いいのか?」




確かめる様に、そう言って

俺の目をじっと見つめる父

大好きだった、あの海と同じ色の瞳に俺が映っている




俺の人生を変える?




父の言葉が上手く理解できない

でも、ただ分かるのは

それよりも、この国を助けたいという事



例え、俺の人生が変わってしまう様な事でも

この国を救えるのならば



それに、この先の未来なんて

このままいけば――