真っ直ぐに伸びた声が世界に落ちる
受け入れがたい現実が、心を締め付ける
思い出すのは、あの美しい瞳
世界の美しさをすべて纏った様な、あの美しい姿
それが今、赤の中に沈もうとしている
黒に飲み込まれようとしている
この国の終わりは、王家の滅亡――
彼女の死だ
「どうにか、ならないのかっ」
グっと歯を食いしばって、込み上げる思いを押さえる
そうしないと、涙が出そうで
自分が死ぬ事よりも、彼女を失う事の方が怖い
俺の命など、失ってもいい
ただ、彼女だけは――
グルグルと頭を回転させる
今まで学んできた戦術を頭の中で並べる
でも―――
「くそっ」
勝機など、見えなかった



