My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ




「姫様っ、危のうございます。どうか、お下がりください」



微かに顔を青くした騎士が、そう言うのを頭の端で聞く



分かっている



ここに私がいても、何もできぬ事ぐらい

だが、じっとなどしていられぬ

国が死んでいく悲鳴を、黙って聞いているだけなど、私にはできない



それでも、ここにいれば皆の負担を増やすだけ

納得ができなかったが、小さく頷いて振り返った

その時―――




「騎馬隊がまた攻めてくるぞっ!!!」




隣にいた騎士が大声でそう叫んだ

勢いよく、森の方へ視線を向ける



すると、先程とは別のガスパルの騎馬隊が再びこちらに向かって、ものすごいスピードで駆けてくるのが見える

その数の多さに目を疑う




「騎士達は気づいているのか!?」

「い...いえ、きっと先程の騎馬隊に気を取られおります!」




微かに森の隙間から騎士達の姿が見える

襲い掛かってくる先陣の騎馬隊の相手をしていて、迫り来る騎馬隊に気づいていない





やられる