「姫様っ、危のうございます。どうか、お下がりください」
微かに顔を青くした騎士が、そう言うのを頭の端で聞く
分かっている
ここに私がいても、何もできぬ事ぐらい
だが、じっとなどしていられぬ
国が死んでいく悲鳴を、黙って聞いているだけなど、私にはできない
それでも、ここにいれば皆の負担を増やすだけ
納得ができなかったが、小さく頷いて振り返った
その時―――
「騎馬隊がまた攻めてくるぞっ!!!」
隣にいた騎士が大声でそう叫んだ
勢いよく、森の方へ視線を向ける
すると、先程とは別のガスパルの騎馬隊が再びこちらに向かって、ものすごいスピードで駆けてくるのが見える
その数の多さに目を疑う
「騎士達は気づいているのか!?」
「い...いえ、きっと先程の騎馬隊に気を取られおります!」
微かに森の隙間から騎士達の姿が見える
襲い掛かってくる先陣の騎馬隊の相手をしていて、迫り来る騎馬隊に気づいていない
やられる



