「理由は面倒だから割愛しますけど」

いや、そこは一番、
割愛したらあかんとこや。

「高橋がどうかしたのか?」

「先生のせいで
いじめられそうなんです。」

「俺のせい?どういうことだ?」

先生は全くわからないといった様子だ。

「先生は
女の嫉妬の怖さを知らないんです!」

なんだこれは?
といった視線を先生がこちらに送る。

「彩音、一回、落ち着こう。」

彩音をなだめてみる。

しかし、
その後、私が先生に
何と言ったらいいか迷ってる間に、

彩音が再び続ける。

「恋した女の子って、
時には自分でもびっくりするくらい
醜いことを考えちゃうんですよ?」

「………」

もはや何がなんだかわからない。

「女の子をそんな風に
変貌させてしまう先生は、
罪作りな人だ。ということです。

…お時間を頂き、失礼しました。」

言いたいことを言い終えたのか、
彩音は私の手をひっぱっていく。



「彩音?」

「はぁ…私、何言ってるんだろうね?」

そう言った彩音は、
どことなく寂しそうな表情をしていた。