「あの…先生。」

「ん?どした?」

会話が途切れたタイミング。
言うとしたら今しかあるまい。

「すみません…迷惑、ですよね?
休みなのに、
こんな風に病院連れてってもらって…」

やっぱりちゃんと謝っておこう。

「は?別に迷惑じゃねーよ。
どうせ今日予定なかったし。
…ていうかさ、こういう場合、
"すみません"じゃなくて、
"ありがとう"と言ってもらいたいんだけど」

「あ、ありがとうございます。
助かります。」

意外と優しい人なんだな。
ちょっと避けてたことに罪悪感感じてきた。

「よろしい。
それとさ、学校でもあんまり避けるなよ。
なんか、かえってやりづらいわ。」

「…ごめんなさい。気をつけます。」

「わかれば、よろしい。
俺はお前のこと学校にチクる気ねえよ?
だから、学校で家の話なんて絶対しねえし。」

そりゃそうだろうね。
わかってたけどさ。

「本当にすみませんでした。」

「でもさ、学校では家の話できないけど、
帰ってくれば、
同じ屋根の下に住む住人なんだから
次にこんなことがあったら、
迷わず俺に頼れよ。」



……っ!



「最初に言ったろ?
困ったことがあったら、
いつでも呼んでくれって」



なんだろう?この感情…



「困ったことがあれば、
迷わず俺を頼れ。」



心が熱くなっていく、そんな気がした。