先生の「特別」にしてくださいっ!

高校生にもなっておんぶとか、

人に見られたら恥ずかしいとか、

そういう気持ちもあったけど、

ひいてくれそうにないし、

純粋にありがたくもあったので、

遠慮なく背中を借りることにした。



先生の背中は想像以上に広くて、
暖かかった。



…じゃなくて!



…どうしよう、会話がない。

ていうか、これすごい迷惑なのでは?

今日は休日だし、
先生も他にやることあったはずだよね?

どうしよう…なんて考えていると、

「滝野ってさ。」

唐突に声をかけられた。

「な、なんでございましょ?」

…変な言葉づかいになってしまった。

「ぷはは…なんだよ、その反応。」

先生が笑っている振動が私に伝わる。

「唐突に話しかけるから…」

「ああ、わりぃ、わりぃ。
それで、滝野ってさ、
どうして、"たきのり"って呼ばれてんの?」

ああ、そんなことか。

「"たきのりん"だから」

「………!ああ、なるほどね。
女子高生って面白いな。」

「そうですか?」

「普通、たきのりなんてあだ名つけないって
男みたいじゃん。」