夢を見ていた気がする…


「凛ー!りーん!!いつまで寝てるの?」


懐かしい声が…聞こえる。


「…お母さん?」


「この寝坊すけが!!」


「うー…でもまだ眠いよー…
…今日日曜日でしょ?」


「そうだけど、あんたは寝過ぎ!
皆待ってるんだから、早くしなさい。」


「皆?」


「あんたの新しいお母さんと、
生意気だけど喧嘩が強い弟と、
お父さんももう来るって。」


「新しい…お母さん?
お母さんは…お母さんでしょ?」


「はあ……寝ぼけないの!!
良く思い出して?」


「………お母さん…
あ…そっか、そうだったね。
でも、なんか疲れちゃったから、
もうずっと、ここにいたいな。」


「だーめ!我が儘言わない!
…家族以外にもあんたを待ってる人、
いるよ?」


「…え?だあれ?」


「それも忘れちゃったの?
あんたの一番好きな人!」


「私の一番好きな人…
ああ…
えへへ、思い出した。」


「ずっとあんたを心配してる。」


「嘘だよ…そんなはず、ない。」


「もう逃げないんでしょ?
しっかりしなさい!」


「…わかった。仕方ない、起きるよ。
…ねえ、お母さん?最後にひとつだけいい?」


「なあに?」


「お母さん、今、幸せ?」


「お母さんの幸せは、
凛とお父さんの幸せなの。
お父さんは私がいなくなって、
ずっと悲しい顔をしてたから、
今、ようやく幸せに笑ってくれてよかった。
もう大丈夫だと、思ったのに…
このバカ娘が! 」


「ごめんなさい…」


「わかればよし!
じゃあね!凛!
お母さんはいつだって凛の幸せを
願ってるから」


「うん!お母さんも元気でね!またね!」