目の前には赤く光る手術中の文字。


…昼間、兄貴が言ってた、
いなくなるのが怖いって気持ち、
今ならよくわかる…


俺も…滝野がいなくなるのが…怖い……



バタバタバタバタ…
足音が駆け寄って来る。


「すみません!!
凛ちゃんは、凛ちゃんは、どうなんですか?」

母親か?
随分、若い女性だ。

「あ!申し遅れました。
滝野凛と一也の母親です。
この度は子供たちが
ご迷惑をおかけしました。」

俺の疑問に気づいたのか、そう挨拶をする。

「私は凛さんの高校の教師、谷中です。
凛さんはまだ…」

そう言おうとした時、
手術室から看護師が出てくる。

「凛さんのお母様ですか?」

「はい、そうです。あの…娘は!?」

「今、全力を尽くしています。
それで、お母様の血液型は何型でしょうか?」

「…AB型です。」

「???
娘さん、O型ですよね?」

「義理の、娘なんです…」

「あ…」

なんとも言えない空気が漂う…


でも、そんなことより、

「俺!O型です!」

ひょっとして、血足りないのか?

「!!!
ちょっとこちらに来てください。」



滝野がまた笑ってくれるなら…


俺の血なんていくらだって、


くれてやる………



滝野…



早く、



戻ってこい…