「はあ!?迷惑なんかじゃねえし!
何度も言ってんだろ!」

何なんだ?あいつは。バカなのか?

「僕に怒らないでよ。」

「ああ、ごめん。」

「守の学校、生徒の一人暮らし禁止でしょ?
じゃあ、良かったんじゃない?
これでめでたく実家に帰れて。」

そうかも、知れない…
だけど…

「あいつはそれで良かったのか?」

なんか、引っ掛かる。

「実家には可愛い義弟も、
綺麗な義母もいるから、楽しみって言ってた」

夏に聞いた話だと良い家族みたいだ。
けど…

「でも…」

「生徒の家庭での幸せを応援するのも、
教師の役目でしょ?」

そうかもしれない。
いや…

「…そう、だな。」

滝野は自ら望んで実家に帰った。
それで幸せになる。
めでたしめでたしじゃないか。

俺はそれでいい。
何もしてやれなくても、
滝野が幸せなら、別にいい。

あいつの笑顔が俺の幸せだから。

どうせ、
俺の想いは伝えることができないから…