「…ソロ、感動した。」

あ………!

歌った時のことを思い出して、
急に恥ずかしくなる。

そうだ。あの時、
エポニーヌと自分の気持ちを
重ねてしまって…

大衆の面前で告白したような気になって、
すごく恥ずかしい。

「本当に高校生か?って思うくらい
上手くて、プロみたいだった。」

って、あれは歌詞だから。
エポニーヌの気持ちだから。

「ありがとうございます。
そんなに褒められたら、
照れちゃいます。」


「俺がマリウスだったら、
絶対に振り向くだろうな!」


っ!!!!!

え?

今、なんて?

「何言ってんすか!?」

「そのまんまの意味だけど?」

ドキドキドキドキ…

そうかもしれないけど、

私には重大な意味があるというか…

軽々しくそういうこと
言わないでほしいな。

「そんなマリウスだったら、
エポニーヌはきっと…………
いや、エポニーヌはあれでも十分、
幸せでしたね。」

そう。
想いが伝わらなくても、
最期の瞬間に抱かれていただけで、
幸せだったはず…

想いが伝わらなくても、近くにいるだけで…

「ミュージカル、見に来てくれて、
ありがとうございました!
褒めて下さってすごく、嬉しかったです!」

私の想いは伝わらなくても、
先生はここにいる。私を見ててくれた。

それが

今の私の

幸せだよ。