《大丈夫か!?》

ドキッ…

《あ、あっぶね!》

ドキドキ…

《お前の運動神経だと、
ひとりで屋根に座ってられねえだろ?》

ドキドキ…

《家につくまで、手、繋いで帰る。》


「あ…あ…
あの!」

パシッ!

思わず、
広田先生の手を払いのけてしまった。

「本当に!大丈夫ですから!
すみません…」

「あ、ああ、
なら、いいんだけど。」

とびっくりしている広田先生。

「凛?」

雪乃も不思議そうな顔をしている。

「…よっし!気を取り直して
机を運ぶぞー!!
では、広田先生、失礼します!」

私がそう言って
机を運び始めると、

「お、おう!
今度は気をつけろよ!」

と広田先生が、
後ろから声をかけてくれた。


ズキン…

手首じゃなくて、

心が痛い。

先生の優しさを

思い出してしまったから…



先生…

やっぱり私、寂しいよ。

《困ったことがあれば、迷わず俺に頼れ。》

言えない…

先生と話せなくて、
先生が近くにいなくて、
寂しいくていられないなんて、

誰にも言えない…

私は一人でこの想いを抱えるだけなんだ…