「では、さよなら。」

私は部屋を出て、
キャリーケースを持ちながら、
外階段をおりる。

降りたところに人影があった。

「あ、凛さん。」

…この人は、

「どちら様でしたっけ?」

「ええ!?
僕ってそんなにわかりづらいかなあ?
ちょっと傷つくんだけど。」

傷つかれてしまった。

「嘘ですよ。
この前はお世話になりました剛先生。
どうしたんですか?」

「弟に会いに来たんだけど、
留守みたいで。」

先生に会いに来たらしい。
ってあれ?

「先生なら、
修学旅行に行ってて、今いないですよ?」

知らないのだろうか?

「ああ!そうだった。忘れてた!
…ところで凛さん、その荷物は?
ご旅行ですか?」

「良いボケだ!」

思わずほめてしまったけど、

「んなわけないでしょ!
実家に帰るんです!」