「まあ、あのワガママ娘の主治医なんて、
さぞかし大変でしょうね。
同情します。」

この真面目くんには理解できないこと
多いだろうな。

「…彩音さんは、確かに破天荒ですが、
ただワガママってだけじゃないです。」

ん?

「わかってるじゃないすか。」

彩音はああ見えて結構色々考えてるし、
いい奴である。

「…彩音さんは素敵な女性だと思います。」

「ふーん…?へーえ…?
好きなんだあ??」

「ち、違います!
あくまでもただの医者と患者の関係です!」

医者と患者の関係…
教師と生徒よりはハードル低そうだけど…

「剛先生って意外とマゾ?」

「はい?何言ってるの?」

「彩音といい、先生といい、
振り回されるの好きなのかなあ…って。
確かにからかいがいはあるけど…」

「何ですか?そのからかいがいって!」

「何でもないですーこっちの話ですー!
はあ………」

話しすぎて疲れた。
言われた通り、そろそろ寝るか。

「大丈夫ですか?」

見ると心配そうな剛先生の顔。
あの弟にして…この兄か……

「へーきです。
あんま私に優しくすると、
彩音がやきもち妬きますよ?」

「え?」

「おやすみなさーい」

「ええ!?」