「守、この子の親には連絡したの?」

滝野が寝た後、兄貴が俺に聞いてきた。

「こいつ、連絡するの嫌がるから…」

「嫌がられても、連絡した方が、
良いんじゃない?」

「…そうかもしれない。でも…」

「でも、何?
守はこの子の、何なの?どういう関係?」

俺と滝野の、関係?

「…教師と生徒。」

「だったら、どうするべきかわかるよね?
親にも連絡しないで、
部屋に上がり込んで面倒見るなんて、
もうそれは教師の仕事じゃないよね?
いくら同じアパートに住んでるからって、
やりすぎだよ?
今は僕がいるから良いけど、
何かあったら、どうするつもりなの?
責任、取れるの?」

教師の仕事…
責任…

わかってる。
兄貴の言うことは、いつも大体正しい。

滝野と俺は、生徒と教師。
それ以上は何もない…
わかってる。

だけど、俺…

「ねえ、 兄貴。
…………できるかぎり、
こいつを支えてやりたいと思う俺ってさ…」

こいつのこと、
好きなのかな…?

「やっぱり、頭おかしいのかな?」

滝野は生徒なのに…

「お前、まさか…」

「俺、プリン買ってくる。」

俺は何かから、
逃げるように部屋から出てしまった。