滝野の言うとおり、
確かに部屋はいつもより片付いていなかった。

ごみ捨てもあまり行ってなかったのか、
ペットボトルが袋にたまっている。

あれ?
こいつってお茶は自分で作ってなかったか?

まあ、そんなことは
今はどうでもよくて、

「熱、測ってみろよ。」

俺は滝野をベッドに座らせると、
そう指示する。

「………」

「ん?どうした?」

何故、黙る?

「うちには体温計などという、
文明の利器は存在していないですよ?」

「ああ?体温計がない!?
じゃあ、そうやって風邪ひいたとき
どうしてるんだよ?」

「風邪なんてひいたことないです。」

「はあ……
部屋から取ってくるから、
その間に着替えて寝て待ってろ。」