「家、帰れそうか?
もう少し、休んでくか?
何なら俺の背中を貸してやろうか?」

辛そうな滝野にそう聞いてみる。
だけど、こいつは、

「…もう、全然大丈夫ですよー!
一人で歩いて帰れます。」

と、無理した明るい声で言う。

「無理すんな。」

「無理なんか、してま…」

「あ、おい!」

勢い良く立ち上がるもんだから、
立ちくらみがしたらしい。
倒れそうになるのを、なんとか俺が支える。

「あは……すみません……
視界がシャットダウンしかけました。」

「この馬鹿が!
だから、無理すんなって言っただろ。」

「ごめんなさい…」

「ほら。」

俺は手を差し出す。

「はい?」

滝野は疑問符を浮かべている。

「危ないから、
家につくまで、手、繋いで帰る。」

「は、はい…すみません…」

滝野は申し訳なさそうにその手を握った。

「あと鞄、持つから。」

「え!?そのくらい自分で持ちます。」

「いいから!」

「すみません…」