「考えすぎ?」

普通、このくらい考えない?

「ここを出ていく事に未練があるお前が、
家に帰ったところで、
何かが上手くいかなくなることくらい、
わかりきってることだろうが!」

「そうですかね?」

案外上手くいくんじゃないか?

「お前が我慢してなら上手くいくだろうさ。
だけど、
お前の好きな家族は、
お前が我慢することを望んでるのか?」

「それは…」

望んでないと思う。

「お前の気の済むまで、ここにいろよ。
多分、家族もそれを望んでるし、
その方が絶対、上手くいく。」

「だけど、
私がここにいたい理由なんて、
10人が聞いたら、
10人は呆れる理由ですよ?」

「別に、理由なんかどうでも良いんだ!
10人が呆れたとしても、
俺が呆れない11人目になってやるから。
だから、
お前は気の済むまで安心してここにいろ。
もうそんなにひとりでずっと悩むな。」

「え?」

本当に、どんな理由でもここにいて良いの?
私が驚いていると、

「困ったことがあれば、迷わず俺に頼れ。
何度も言わせんなよ。」

先生はいつものように、
爽やかな笑顔でそう言った。