先生の「特別」にしてくださいっ!

ほらって…
私に握れってこと?先生の手を?

ドキドキドキドキ…

先生の手…

「滝野ー?早くしろー」

先生が呼んでいる。

私は先生の手を掴んだ。

「ここにそっちの手を掛けて。
足はそこで
…いくぞ?
よっ!」

慎重に屋根の上に登ってくけど、

「うわわわ!」

私はバランスを崩しかける。

「あ、あっぶね!」

これは、転ぶ!って思ったけど、
何かに支えられて私が転ぶことはなかった。

え?

これ、今、どういう状況?

「セーフ!大丈夫か?」

すごい近くから先生の声が聞こえて、
見上げると、
先生の顔がすごい近くにあって…

「え?え?
うあ!す、すみません…」

私は先生の腕の中にいた。

すぐに離れなきゃって思って、
腕の中から出ようとするけど、

「動くな。あぶねーだろ。」

なぜか腕の力が強くなる。

「え、でも…」

流石にこれは、私の心臓がもたない。

「お前の運動神経だと、
ひとりで屋根に座ってられねえだろ?」

「う…それは…」

事実であった。